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マナティーに恋して、ジュゴンの海へ|ちきゅう研究所を立ち上げたわけ

研究者ガイドの調査ツアー:自然の見方が変わる連載①


この連載では、研究者の視点で、自然の魅力をわかりやすく紹介します。

ふだん見逃していた発見に気づくと、いつもの海や景色が少し違って感じられるはずです。


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はじめまして!菊池夢美(きくちむみ)です


ちきゅう研究所(ちきゅうラボ)代表の菊池夢美です。

宮古島を拠点に、エコツアーと環境教育に取り組んでいます。


「研究者」と聞くと、白衣や難しい言葉を想像するかもしれません。

でも私がやっているのは、とても素朴なことです。


フィールドに出て、自分の目で見て、記録して、「なぜだろう?」を大切にする。

そんな“自然の見方”を、みなさんと一緒に楽しみたいと思っています。




すべては、水族館で出会ったマナティーから始まりました


大学生の頃、沖縄美ら海水族館でマナティーに出会って、一目惚れしました。


ゆったり泳ぐ姿、かわいい顔つき、そして「こんな美しい生きものが地球にいるんだ!」という衝撃。

マナティーの水槽の前から動けなくなり、感動でいっぱいになりました。


あの瞬間が、私の人生を大きく変えました。


水族館での出会いをきっかけに、アマゾン川のマナティーの行動研究を研究テーマに選び、博士号を取りました。


その後はメキシコ、ペルー、そしてカメルーンへ。

現地の人たちと一緒に、マナティーの調査や保全プロジェクトに関わってきました。


国内では、美ら海水族館、鳥羽水族館、新屋島水族館と連携して、飼育マナティーの行動研究にも取り組んでいます。


同じ生きものでも、場所や環境が変わると見えてくる課題も変わります。

世界の現場で皆さんと一緒に研究をする中で、「守る」とは何かを考えるようになりました。


ブラジルの国立アマゾン研究所(INPA)が実施するマナティーの野生復帰の様子
ブラジルの国立アマゾン研究所(INPA)が実施するマナティーの野生復帰の様子


「研究だけでは、守れない」と感じた日


世界中のマナティーを見つめてきて、強く感じたことがあります。それは、研究だけでは、守れないということです。


どれだけ論文を書いても、その内容が現場で暮らす人たちや、保全プロジェクトに携わる人たちに届かなければ、状況はなかなか変わりません。


本当に必要なのは、科学的な知識を“わかる言葉”に変えて伝えること。


そして、行動につながるきっかけをつくること。私はそう思うようになりました。



だから、環境教育を始めました


そこで立ち上げたのが、一般社団法人マナティー研究所です。


国内外で環境教育を行い、生きものや自然の魅力、大切さ、人とのつながりを伝えてきました。


そうして、続けるうちにもう一つ気づいたことがあります。

教室の中の話だけでは、どうしても伝えきれないものがあるということです。


自分の目で見て感じること、気づくこと、発見すること、そしてまた新しい謎が生まれること。


こういう体験は、実際に現場に立つからこそ生まれます。




日本に“マナティーはいない”。でも、ジュゴンがいます


日本には野生のマナティーはいません。


けれど、その仲間であるジュゴンが、沖縄の海に生きています!


それなのに、日本ではジュゴンの知名度は低く、知らない人も多くいることがとても残念で仕方ありません。


特に宮古島では、ジュゴンの目撃情報が多いこと、そして海草を食べた跡が見つかることが知られています。


私はこの場所で、ジュゴンや、彼らを取り巻く生きものたちをテーマにして、「海の楽しさ、大切さ」を学ぶ体験を広げていきたいと思いました。


そのために立ち上げたのが、ちきゅう研究所(ちきゅうラボ)です。




ちきゅう研究所のツアーが目指していること


私たちが目指すのは、「楽しかった」で終わらないエコツアーです。


観察して、発見して、また新しい疑問が生まれる


そんな“調査の視点”を取り入れることで、自然の面白さがぐっと深まります。


たとえば、同じ海でも——


  • なぜ、この環境にたくさんの生きものが暮らしているのか

  • なぜ、海にとって海草がたいせつなのか

  • 海草はどんな環境で元気に育つのか

  • 人の活動は、海の生きものにどう影響するのか

  • なぜジュゴンやウミガメが絶滅しないように守る必要があるのか


こうしたことを考えながら観察、発見をすすめると、いつもの景色が少し違って感じられます。


そして、地域の文化や昔話など、人と生きもの、海の関わりを知ることで、ここ宮古島がみなさんにとっても、もっと大切な場所になるかもしれません。


「知ること」は、むずかしいお勉強ではなく、世界が広がる楽しい体験です。


私はその入口を、皆さんと一緒につくっていきたいです。



次回のブログでは、「なぜ観光ではなく「調査ツアー」なのか」をもう少し具体的にお話しします!


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