ジュゴンはどこにいる?|調査ツアーで見る“痕跡”のひみつ
- むみ きくち
- 2月23日
- 読了時間: 3分
更新日:6 日前
研究者ガイドの調査ツアー:自然の見方が変わる連載③
この連載では、研究者の視点で、自然の魅力をわかりやすく紹介します。
ふだん見逃していた発見に気づくと、いつもの海や景色が少し違って感じられるはずです。
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前回は、観光と調査ツアーのちがいについてお話ししました。
今回は、
「実際に、何を観察するの?」
という疑問にお答えします。
ジュゴンは、なかなか会えません
「ジュゴンは見られますか?」
これは、よくいただく質問です。
正直に言うと、日本に暮らすジュゴンの数は大きく減ってしまい、
さらにジュゴンはとても警戒心が強く、
そう簡単に出会える生きものではありません。
でも、ここで大切なのは、
“見えること”だけが観察ではないということです。

いちばんの手がかりは、食べ跡
ジュゴンは海草を食べます。
そして、海底には、ライン状の跡が残ることがあります。
これが、ジュゴンの食べ跡です。
海に潜って海底をよく見ると、
一直線に海草を刈り取ったような跡が見えてくることがあります。
それを見つけたとき、
「ここにいたんだ」とわかるのです。
生きものは、姿だけでなく、
“暮らしの痕跡”を残しています。

観察力は、だれにでも育つ
これまでは、海草に注目したことはないかもしれません。
珊瑚礁と比べると、あまり目立ちません。
色とりどりの魚もそれほど見つけられません。
でも、海草は海の環境を維持してくれる大切な存在で、
いろんな生きものたちが暮らす場所で、
ジュゴンにとって必要な食べ物です。
研究者と一緒に観察すると、何か発見があるかもしれません。

「これはもしかしてジュゴンの跡?」
「ウミガメの可能性は?」
「波で削れただけ?」
答えはすぐに出ません。
海草の跡からジュゴンだと確定することは、とても難しいのです。
だからこそ、面白いのです。
“わからないこと”をたくさんみつけていきましょう。
それが新しい発見に繋がっていきます。
その感覚を、ツアーの中で共有したいと思っています。
見えないけど、そこにいる
ジュゴンは、日本では数が少なくなってしまいました。
姿を見ることができなくても、
その痕跡を見つけたとき、
そこに確かに暮らしていると実感します。
痕跡が見つからない日もあります。
それでも、「見つけようとして海を見る」こと自体が、自然との距離を近づけてくれます。
実感は、関心に変わります。
関心は、行動につながります。
それが、調査ツアーのいちばん大切な目的です。
ジュゴンだけではありません
観察するのは、ジュゴンの痕跡だけではありません。
たとえば、
海草の種類、泳いでいるウミガメ、ウミガメの食べ跡、海の濁りや流れ、小さな生きもの。
すべてが、海での発見です。
自然は静かですが、たくさんの情報がつまっています。
それに気づけるようになると、海はただの景色ではなくなります。

次回は、「ジュゴンのうんちは何がちがう?」をご紹介します。
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